Bリーガーの食卓
Bリーグ、22日の開幕以降も各地で本当に盛り上がっていますね!
この機会に初めてプロバスケに触れた自分のまわりの人々も「また見に行きたい」「ハマりそう」と好印象のようで、とてもうれしいです。
さて、ご報告が遅れましたが日刊スポーツさんが運営する食育サイト「アスレシピ」で、Bリーグ開幕に合わせた連載企画を組んでいただきました。
「食事」という視点から選手を見つめると、また違った発見があるものですね。どの選手も、親御さんや下宿先のご家族、奥様からの愛情をめいっぱい受けてここまで大きくなったのだなぁと改めて実感させられました(比江島選手も「お母さんのご飯は普通の野菜炒めでもとにかく美味しい」と絶賛していました)。
こちらの連載は今後も続く予定です。どんな食生活に出会えるか、楽しみです!
神奈川ウインターカップ予選
神奈川県のウインターカップ予選が本日閉幕しました。
男子は桐光学園高校、女子は旭高校が優勝し、12月のウインターカップの出場権を獲得しました。
どちらも前評判通りの強さでした。全国大会で目指すものはそれぞれ少し異なりますが、高校最後の大舞台を心から楽しんでもらいたいです。
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・・・というように大変当たり障りのないことしか書けないのもアレなので(個人のブログなので取材時の情報やコメントは出しません)、媒体には出ない、取材とは無関係なお話を。
TIP OFFで取り上げた法政二高は決勝で力尽きました。夏とは一段異なるスイッチが入った桐光学園は強かった。様々なことを試しましたが突破口にはならず、大差がつきました。
閉会式後の記念撮影で泣きべそをかいていた選手がいました。
インターハイ予選決勝リーグで桐光学園を破る大きな大きな原動力となったその選手は、決勝リーグ最終戦の開始直後に足を痛め、その後はずっとベンチ。試合後のあいさつは、チームメートにおぶわれて参加しました。
その様子を微笑ましく見ていましたが、症状は思ったより深刻だったようで、数日後に国体の選考会の見学で学校を訪れると、松葉杖をついていました。
インターハイは間に合わないと言います。「残念だね」と返すと、彼は笑って言いました。「大丈夫です、ウインターカップがあるから」。真っすぐで強い子だなと思いました。
結局、彼が練習に合流できるようになったのは予選開始の数週間前とのこと。今大会もインターハイ予選のころからプレータイムが減り、精細を欠いた印象でした。SNSの投稿から察するに治療はギリギリまで続けていたようですし、本調子には程遠かったのでしょう。
インターハイ後に行ったTIP OFFの取材時に、ある選手がこう話していました。
「もう一回、あいつも含めたみんなで(全国で)やりたい。あいつがいてチームが完成するから。あいつありで、全国のいろんなチームとやりたいなって」。
その願いは残念ながらかないませんでしたが、こんなふうに思い合える仲間がいるということの尊さは、何物にも代えがたい宝物。うらやましいですね。
全国に導いた張本人が肝心のひのき舞台に立てず、思うようなプレーができないままに高校バスケを引退する。おそらく日本中にこういう選手がいるんだろうなと想像すると、スポットライトの当たらない一人ひとりの人生に物語があるということを改めて思い知らされます。
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ウインターカップで活躍するレベルの選手なら、その後も大学やらなんやらでまた出会える確率が高いです。でも、県予選レベルだとそれがかなわないことも多い。二度と会わないだろう選手もたくさんいます。とてもさみしいです。
仕事柄たくさんの人と会いますが、その多くの人とまた出会って言葉をかわしたいし、何らかの形で縁を育んでいきたい。わがままながら、そんなふうに思っています(なんのこっちゃな締めですね)。
2016年9月22日
辻堂で神奈川のウインターカップ予選を取材し、代々木第一体育館へ移動。
場所取りに備えた16時集合に合わせて、15時40分に原宿に着く。
明治神宮を横切り、歩道橋を登る。
階段を登りきったところで、すでに見える。通りすがりの人も写真を撮っている。
試合開始3時間前。
ジャニーズのコンサートじゃないんですよ!!!! pic.twitter.com/Xv8oXYdLr9
— 青木美帆 (@awokie) 2016年9月22日
いつも第二に行くとき「邪魔だなあ」と思っていた(すいません)第一の人混み。それが自分ごととして目の前にある。頬がゆるみ、続いて震え出す。
お客さんがたくさんいる。Tシャツやキャップを身に着けている人もたくさんいる。何社ものテレビ局のカメラが詰めている。
なんだか、もうここが自分にとってのクライマックスだったような気もする。
外観撮影中の知り合いのカメラマンさんに声を掛けたら、こらえきれず泣いてしまった。
夢に見てた、たくさんの人が詰めかけるアリーナ。
恋人が、友人が、家族が、貴重な休日に大枚をはたいてバスケットボールを見に来た。
その事実だけでもう胸がいっぱいで、会場の素晴らしい演出も霞んでしまった。
とはいえ、綺麗でしたね。夢かと思いました。
岸本選手の3ポイントとそれに続く大歓声には、比喩でなく本当に鳥肌が立ちました。アルバルクの伊藤HCと正中選手のコメントに「そうだ、ここからなんだ」と奮い立たされました。
特に正中選手のスピーチは後世に語り継がれるものだったのではないでしょうか。テレビでBリーグ開幕を振り返るたびに流してほしい。それくらい素晴らしかった。文字起こしをされた方のデータを引用させていただきます。
本日はみなさまとともにこのような素晴らしい舞台に立つことができて本当に嬉しく思っています。
誰もが羨む本当に最高の舞台でした。しかしながらもう今日を追いかけることはありません。これからは今日のこの盛り上がりを、情熱を、それぞれの想いを、これからのリーグの発展に向けて、しっかりと選手ひとりひとりが努めていかなければならないと思っています。
今日のこの素晴らしい開幕戦に勝ったチームとして、またその一員として、これからのリーグの発展に向けて選手としてとにかく愚直に競技力の向上に励み、プロスポーツ選手として自らの資質の向上を努めることによってみなさまから愛される、そしてみなさまから愛される、そしてみなさまから応援していただくにふさわしい選手、チームとなっていくことを、今日ここで選手を代表して宣言いたします。
これからもみなさんと一緒にBリーグを盛り上げていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
(アカン、思い出してまた泣くレベルやでこれは。)
2016年9月22日。新時代の幕開けです。
この時代を私たちがどう生きていくかで50年後、100年後が変わっていく。日本バスケの夜明けを目撃した人間として、これくらいの気概をもって潔く全力で、必死でやっていきましょう!みんなで!!
「TIP OFF」発行しました
JBA登録者向けのフリーマガジン「TIP OFFvol.13」が発行&発送されました。
最新のバスケットボールの情報を配信するTIPOFF(ティップオフ)が本日9月12日に発行いたしました!!
— TIPOFFバスケットボール (@tipoff_bball) 2016年9月12日
JBAの会員の皆様に発送しております!競技者の方は代表者・先生から受け取ってください!#TIPOFFバスケ pic.twitter.com/3rfOk6OReW
巻頭の法政二高特集と、辻秀一先生のインタビューを担当しています。
「ふつうのチーム」にこそ参考にしてもらいたい法政二高のチーム作り
今号のテーマが「チーム作り」に決まったという連絡を編集部から受け、「どこかいいチームはないですかね?」と聞かれて真っ先に頭に浮かんだのが法政二高でした。
有名選手がいる全国上位のチームを紹介してもよかったのですが、読者の主対象である「ふつうの選手たち」が言い訳をせずに「自分たちも頑張ろう」と思えるようなチームの取り組みを紹介したかったのです。
5段階評価で平均4.5以上の評定が合格目安となる法政二高には、スポーツコースも学力度外視の推薦もなく、ジュニアオールスター神奈川代表になった選手も1人しかいません。それでも全中出場選手のいる厚木東に勝ち、ジュニアオールスター優勝メンバーだらけで県内負けなしの桐光学園に勝ち、寮と留学生を擁するアレセイア湘南に勝ち、あれよあれよと神奈川を制覇しました。
これまでにも取材をさせていただいた中で「このチームには絶対に何か『仕掛け』がある」と踏んで取材を敢行してみたら、やはりビンゴ。部員を「バスケットをプレーする高校生」でなく「バスケットボール部という組織の一員」と見立てることで、71人の部員が高いモチベーションを保てるということがわかりました。
神奈川男子を制した法政二は、部員71人の思いが見事に結集しました。応援メンバーの大熊隆介選手も、選手に活力を与えようと、ご覧の髪型に(mind☝🏻H2と書いてあります)。学校が始まる明日は、綺麗さっぱりスキンヘッドになるそうです。 pic.twitter.com/ANPKeDUG31
— 青木美帆 (@awokie) 2016年6月26日
こんなファンキーな部員もいます。
若干ぶっ飛んでいますが(TIP OFFの取材時にはヒゲも生やしていました!笑)、バスケットとチームに対してとても真摯で熱い高校生で、実に法政らしい子だなーと頬がゆるみます。
法政二高は来週よりウインターカップ予選に挑みます。県内のライバルたちも「二度は同じことはさせまい」と必死で準備していることでしょう。さて、3年生にとって最後の大一番の行方は――。引き続き見守っていきたいです。
お母さんはメンタルが強い!
スポーツドクターで「スラムダンク勝利学」の著者でもある辻秀一先生には、部活をする上でぶちあたる悩みにご回答いただきました。
シュートやハンドリング技術も日々の積み重ねが大切ですが、強いメンタルを育む方法もやはり地道な取り組みから。うまくいかないことや予想外のアクシデントに一喜一憂せず、「できることをしっかりやろう」と思えるクセをつけていきたいですね。
こちらの取材をしているときに思ったのは、「『母は強し』は心理学的な説得力があるのだな」ということです。
辻先生が言わんとしていることは本誌をご参照いただきたいのですが、お母さん方は日々予想外の、自分の都合とはお構いなしのトラブルに見舞われています。初心者母ちゃんの自分も「自分が寝ようとしたら泣き出す」「出かけなきゃいけない時間なのに起きない」「仕事が佳境だけど熱が出た」などなど思い通りに行かないことが当たり前すぎて、イライラを通り越してもはや「それがどうした」という境地になってきました。
子供が大きくなれば「ケガをした」「ものすごく汚れて帰ってきた」「迷子になった」「ケンカをした」などなど、もっと予想外なことに遭遇するのでしょう。こういったことにいちいち動じていたらお母さんたちは身がもたないですよね。これも実はメンタルトレーニングの一種なのだなということがよく分かりました。私も少しは打たれ強くなってくれると信じ、子育てに邁進します。
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その他にも東京成徳大学高校女子部や元女子日本代表の田中利佳さん、SUNS.EXEの石田剛規選手が登場している「TIP OFF」。多くのJBA会員様に見ていただければ幸いです。
好きです川崎愛の街
「Standard神奈川」Vol.12が発売されました。
Standard神奈川は神奈川県内のみで発売される(例外的に蒲田と町田でも購入可)スポーツ雑誌です。
産休後復帰第一号ではBリーグ特集ページを担当させてもらいました。
メーンは蒲谷正之選手(横浜ビー・コルセアーズ)×篠山竜青選手(川崎ブレイブサンダース)の神奈川出身プレーヤー対談。個人的には長いインタビュー取材の復帰戦でもあったので大変緊張しましたが、取材慣れしているお2方とあってスムーズに進み、予定していた時間を大幅に巻いて終了。和やかな雰囲気でした。
いろんなところでラゾーナ(川崎駅直結のショッピングモール)を推し、川崎アピール活動に励んでおられる篠山選手ですが、何を隠そう横浜出身。「僕は横浜の人間だし川崎には負けたくないと思っている」と、衝撃的な一言が飛び出しました。「出た、横浜人のプライド!」と、ちょっと思いました。
「おすすめスポットは?」という質問に「横浜には勝てないっすよ」と前置きしつつ、多摩川を挙げてくださった(ロードワークに出たり、河川敷で少年野球を見るのが好きなんだそう)篠山選手。プロ化に伴い、市の歴史から勉強し直すと宣言されていました。横浜のことはいい加減もう忘れて、ぜひ川崎親善大使を目指して頑張ってください!!
これも何を隠そう、私は4年前から川崎市民です。川崎フロンターレのにわかサポーターをしつつ「もっとバスケも盛り上がってくれ…」と半ば呪っていた身として、市民クラブができたことを大変うれしく思います。先日行われたブレイブサンダースの記者会見でも、選手たちがしきりに「川崎のみなさんに楽しんでもらいたい」「川崎のために頑張りたい」といったようなことをコメントされていました。実際にどんなアクションを起こしてくれるのか、楽しみです。
横浜には川崎市出身の竹田謙選手が2年のブランクを経て電撃加入しました。インターハイ男子の県代表は法政二と桐光学園と、ともに川崎市の学校でした。川崎のバスケ、いま、アツイです。
フラットな視点を持ちつつ、川崎偏愛主義も備えていきたいと強く思う今日このごろです。
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タイトルは川崎市民の歌です。ゴミ収集車が流す曲でもあります。
何度この曲を聞いてゴミの出し忘れに気付いたことか…。
【追記】
自分も「川崎のおすすめスポット」を考えてみたのですが、篠山選手同様インパクトのあるものを思い浮かべられませんでした。川崎の自慢って何だろう…。仕事の都合などで流入してくる人が他の市町村より圧倒的に多い(自分感覚比)東京/横浜のベッドタウンの川崎は、土地への愛着が育ちにくい場所なのかもしれません。
そんな中で「ユニークなサッカーチーム・川崎フロンターレ」の存在は、よくよく考えてみたら私にとって大きな地元自慢であり、アイデンティティでもありました。全国的な名所がないからこそ、地元のプロスポーツチームが市民の大きな心のよりどころになりえるのかもしれません。ブレイブサンダースにもぜひ、そんな大きな未来を描いてほしいな~。
バスケットボールを仕事にする上で大切にしていること(自己紹介として)
はじめまして
フリーライター/編集者の青木美帆と申します。
国内バスケットボールの周辺に生きる人の声を拾い集めて、あちこちの雑誌やウェブサイトに記事を書いたり、企画を立てたりしています。過去には「中学・高校バスケットボール」という雑誌も作っていました。
今までもtwitterやfacebookで散々自分語りをしてきましたが、せっかくのいい機会なので、どんな主張を持って仕事をしているかを整理してみることにしました。
どんな仕事をしているかは、こちらからご覧ください。
バスケ未経験者にこそ伝えたい
そもそも私自身、バスケ部に所属したことがありません。
高3の夏、思いがけず観戦した能代工業のゲームをきっかけにバスケにどハマリしていくわけですが、当時の私の憑りつかれようは尋常ではありませんでした。月刊バスケットボールをバックナンバーから買い集め、大学受験のピークにウインターカップのビデオを毎日毎日繰り返し見ていました(ビデオなので「一日一回」という限度を比較的守りやすかったですが、当時youtubeがあったら間違いなく大学に落ちていたと思います)。そしてその挙げ句、こんな仕事をしています。
自分自身がそんな経験を経て現在に至るので、「バスケをしたことがない人、見たことがない人にとってもバスケは絶対に楽しいものである」という確信のもと、未経験者にこそ響くものをつくりたいという思いは常に持っています。
国内バスケを生業とする記者のみなさんは競技経験者が非常に多いので、「そういう方々に付け焼き刃の専門知識で太刀打ちできるわけがない」と早々に決めつけてしまった感もあります。でもまぁ、よかったのかなと思っています。
「媒体-読者-関係者」の幸せならせん構造
さまざまな課題が山積みのバスケットボール界ですが、願わくば、みんなが幸せになれるものばかりをつくっていたいタイプです。
「自分:掲載対象にポジティブな刺激を受けて記事なり媒体をつくる→読者:掲載対象を好きになる→対象者:ファンの思いが励みになり、いっそう頑張れる→自分:よりいい刺激を受ける・・・」。こんな流れがうねりとなって上昇気流になってくれればうれしいなと思っています。
夢は「日常に根差したバスケットボール」
「父子の休日の過ごし方」として1対1が浮かぶように、ひいきチームの勝った負けたで何時間でも飲酒できるように、大勢のファンがレプリカユニフォームを着て意気揚々と試合会場に向かうように・・・。
もっともっとバスケットボールが多くの人にとって身近な存在になる未来を心待ちにしていますし、その手助けとなる仕事をしていきたいです。
ブログ開設は、覚悟でもあります。
初めて記事が商業誌に載ったのは2004年、大学2年生の冬でした。バスケットボールを書いてお金をいただくようになってもう10年ちょっとが経ちます。
その間に、さまざまな事情で違う道へと進んだ同業者も見てきましたが、人のツテどころかバスケットボールとの関係すらないところから無理矢理居場所を作り、なんとか10年、この業界にしがみついてきました。あまり欲がなく、何事も適当にやってきた私が人生で初めて必死に努力して手に入れた宝物です。
Bリーグの誕生、女子代表の快進撃、渡邊雄太選手や八村塁選手など有望選手の登場――。日本バスケットボール界は未だかつてない程(自分史上)のワクワクで膨れ上がっています。また、私事ではありますが昨年末に第一子となる息子を出産し、仕事人としての自身のありかたを自問自答する日々です。
さまざまな変化の大波の中に揉まれる中でも道標を見失うことなく、誠実に仕事と向き合っていくために、このブログを立ち上げました。よかったらぜひ、ふらりとのぞいてやってください。
2016.8.30.青木美帆