神奈川インターハイ予選(男子)つれづれ
先週末は神奈川のインターハイ予選に行っていました。
ここでは一観戦者としての振り返りを。
(今季はまだ女子をあまり追えていないので男子の話題のみです)
桐光学園は3年連続、アレセイア湘南は3年ぶりのインターハイです。
桐光学園は2月の新人戦でベスト8敗退、4月の春季大会も5位。
どちらの大会も見ていましたが、どちらも3年生たちが精細を欠いていました。
昨年の3年生もすごかったけれど、彼らだって県内ではピカイチの選手たちです。
でも、なかなか勝てない。
悩んで、苦しんで、そこから這い上がっての決勝リーグ全勝。
非常に尊い、得がたい経験になったのではないでしょうか。
今年のアレセイア湘南は、なんとなく例年と雰囲気が違って見えていました。
最終日の桐光学園戦も最後まで粘り、コート上でコミュニケーションをかわし、
泥臭くアタックする姿勢がとても好ましかったです。
初めてのインターハイ、ぜひ楽しんでもらいたいものです。
ちなみに私は今季、厚木東によく足を運んでいました。
雑誌「スタンダードNEXT」では佐野龍之介選手と東野恒紀選手の
ドラマティックなエピソードを紹介しました。
(写真も含め、最近では会心のページです。原稿がどうというより2人が素晴らしすぎた)
新チーム始動から県内では一度も負けていないチームが、
大一番の決勝リーグで一挙に3連敗。
選手たちの心情はいかんばかりだったことか。
インターハイ出場ががなくなったアレセイア湘南戦後はもちろんのこと、
4位になった法政二戦後にも大粒の涙をこぼしている選手たちの姿を、
なかなか真っすぐ見つめることができませんでした。
***
戦いが終わった平塚周辺の空は、とても美しい夕焼けに染まっていました。
勝者と敗者は、それぞれこの空の色に何を感じたのか。
そんなことが今でも気になっています。
Reライフマガジン ゆとりら
3/13に発売された雑誌「Reライフマガジン ゆとりら 」(朝日新聞出版)で、お仕事をいただいております。
60代女性向けの雑誌です。お近くにご興味ありそうな方がいらっしゃったら、ぜひオススメください!
(画像は編集さんよりいただきました。風吹ジュンさん、ステキ!!)
今回は巻頭特集の「まっすぐな背すじ」で、アナウンサーの宮本隆治さんと、剣道家の野本京子さんのインタビューと執筆を担当しました。
自分の倍以上も生きていらっしゃる上に、専門外の分野の超プロフェッショナルに相対するということで大変身構えましたが、肩ひじ張ったところで絶対にバレるだろうと開き直って、なんとかやってまいりました。
年輪を重ねた人のお2方のお話は本当に面白かったですし、人生まだまだ長いし何でもできるなと元気をいただきました。
依頼を受けたのは、バスケがご縁でけっこう長年お付き合いをさせていただいている方。「井上雄彦さんを取材した時のブログが面白かったから」ということでお声掛けいただいたので、開設してよかったなーと心から思いました。
また、この仕事をしていて目標としていたことの1つに「バスケの仕事をきっかけに、別ジャンルの依頼をもらう」ということがあったので、よりいっそう嬉しかったです。何というんでしょう、"大手の仕事もできる人間としてバスケットに携わっている"という証を立てたいと言いますか。
バスケ(スポーツ)以外のところでも通用する仕事人になることが、ひいてはバスケの仕事を豊かにすると信じて、今後も幅広くお仕事を楽しみ、精進いたします。
機会をくださったIさん、本当にありがとうございました!
大学バスケへ進む君へ
今年度、大学バスケ界ではセンセーショナルな出来事があった。残念ながら、あまりいいものではなかったけれど。
近いところにいる指導者や選手の情報を断片的に聞いて(一時期はどこに行っても、こちらが振らずともこの話題になった)、一度だけ練習を遠目に見る機会があっただけ。当事者たちのことは、直接的には何も知らない。
何が真実なのか知らない立場ではあるけど、この一件に際して、これから大学に進む高校生に伝えたいと思っていたことがある。
(※以下はバスケットに限った話じゃないかもしれないけど、私はバスケットまわりのことしか見聞きしていないから、"バスケットのこと"としてとらえてもらえると幸いです)
未成年と成年が混在し、成人後も"学生"というモラトリアムを生きる4年間は、自分たちがしっかりとアイデンティティを持つことが大切なんだと思う。
大人歴の長い人たちは、学生たちに"大人"を求めつつも、結局はどこかで"子ども"だと高をくくっている。そして、彼らの都合で両者を使い分ける。
「大人なんだから、もう自分たちで考えろ」
「お前たちには任せられない、俺がやる」
みたいな感じで、認識をコロコロと変えるのだ。
彼らの基準でいちいち自分たちの立ち位置を変えると、自分が何者なのか、どこをどう歩いていたかがわからなくなってしまう。
あくまでも推測だけど、今回のことも、こういうことが要因の1つだったんじゃなかろうか。
多くの指揮官は"先生"ではなくなる。学生生活での密接な関わりはなくなり、干渉もグンと減る。
「解放されてせいせいする」と思う人もいるかもしれないけど、裏を返せば今までの細やかなケアが一気になくなるということ(強豪校で育ってきた高校生は特に)。自転車の練習じゃないけれど、いきなりパッと手を離されてバランスと舵を失い、フラフラ予期せぬ方向に進んでしまった選手を何人も見てきた。
もちろん最初からうまくいくものではない。だけど、大人になろうと頑張ってみてほしいし、不完全でも大人であるというアイデンティティを掲げてほしい。自分たちで考えて、行動する。大人に自らをゆだねない。依存しない。きっとそれがみんなを助けてくれる。
SNSを見るに、今週は卒業式のピークだったようだ。
大学でもバスケを頑張りたいと思っているすべての君へ。卒業、おめでとう。
"本当はわかってる 二度と戻れない美しい日にいると そして心は静かに離れてゆくと"
みんなは本当に、美しい日々を過ごしているのだよ。あと10年もするとわかるよ。
"泣きたい気持ちはこの手にしまって 誰かのためじゃない 僕は行くから"
そう、自分自身のために、駆け出してください!
ひとり上手
大学生から20代前半にかけて、月1頻度で大切な行事があった。長距離列車に乗って知らない土地に行き、2、3泊くらいかけてふらふらと歩くことだ。
1人で歩く。1人で眺める。とにかく1人きりで何かを見たり、聴いたり、食べたり、触ったりして、その中で時々ひっかかるものについてゆっくりと考える小さな旅。こういう時間を過ごすと、凝り固まっていたものがほぐれるというか、問題は何も解決していないけれどそれに立ち向かう気力が充電された気がした。本当に大切な時間だった。今でも1人でいる時間は苦でないし、旅先や移動中の車内で同行者にしゃべりかけられることは、一貫してあまり好きではない。
たぶん、物書きの種の見つけ方も同じだ。ふとしたしぐさ、言葉、表情、ひっかかったところからすべてが始まる。ついでにいうと、特に練習見学が大切なきっかけなんだろうな、ということがわかるようになった。練習を見ることが好きだ。たぶん、誰も相手をしてくれなくても一日中平気で見続けられる。
傍観と観察。昔はほぼ妄想みたいなものだったけど、さまざまな人との出会いのおかげで、洞察力につながってきているような実感もある。
敬愛するスポーツライティングの大先輩が、こんなことを言っていたそうだ。
"凝視した時だけいい質問が出てくる"
弛緩からの緊張。俯瞰からの凝視。集中力。描写力。現実世界を見る目はよくないけど(こないだ眼鏡を作り替えたら度が4段階上がっていて、ビン底眼鏡が手渡された)、違うものを見る目の視力はうまいこと向上させたい。そのためにも、今日も今日とて1人でぼんやり考える。
(大学生のころ、友人宅の熱帯魚を数時間眺めつづけていたことがあった。あれはたぶん病気だったのだろう)
【今回の1曲(2曲)】
若者はオザケンを知らないそうだ!なんということだ!!
やたらと電車からの風景とマッチすることと岸田さんが電車好きなことは密接に関連していると思われる
セッションの愉悦(FUTURE BOUND CLASSIC 2017)
日曜日は「FUTURE BOUND CLASSIC 2017」を見に行きました。
平たく言えば、神奈川、大阪、埼玉の高校オールスターが5対5の総当たりで戦うエキシビジョンマッチです。
この取材をしたとき、安達くんから「今年、俺らが出るんです」と教えてもらったので、3年間取材でお世話になった神奈川の高校3年生を見られる最後のチャンスだと、随分前から予定を空けておきました。会場は家から自転車で行ける距離だし、さらに都合がいい。ところがどっこい、持っていない女・青木は2試合しか見られませんでした。道に迷ったからです。
私の迷い方(1cm=200m縮尺)。たぶん2時間くらい迷っていた。
女子のエキシビジョン(東京の高3女子×一般のストリートボールチーム)と最終試合の神奈川×大阪はまるまる見られましたが、みんなとっても楽しそうでした。神奈川は埼玉、大阪に勝って優勝。おめでとう!
メンバーは田代幹(桐光学園)が選抜したとのこと。安達虎太郎(アレセイア湘南)、和田麗空、寒川光太、小澤雅也(以上東海大相模)、戸井堅士朗(法政二)、奥山喜理人(厚木東)、古賀森人(横浜、以上敬称略)。"マスコット"と紹介されていた左端の彼の素性は聞き忘れました。
大学生がストリートボーラーと対戦する「somecity NIGHT COLLEGE」しかり、今回のイベントしかり、競技バスケにどっぷり漬かっている選手がストリートボールに出会う瞬間は、いつ見ても楽しいものです。規律やルールに則った競技バスケに慣れている彼らが、勝手がわからずまごまごしていたところから次第に自由にプレーできるようになっていく。その過程に、いつもわくわくします。
例えば今回MVPを獲った安達くんや和田くん。
競技バスケでの全国的な評価や実力は現段階では高くありませんが、ストリートボーラーとしては全国レベルで猛烈に光っています(やるな、神奈川)。MVP次点としてこっそり副賞をもらっていた田代くんも、自チームではなかなか発揮できない1対1をガンガン仕掛けられて、ものすごく楽しそうでした。
somecityのオーガナイザーをつとめるTANAさんは、よく「ストリートは遊び」と言います。私は、学生時代にかじっていたジャズピアノを思い出し、「ストリートはセッションだな」と感じました。コード進行やアドリブを回す小節数、決めるタイミングなど最小限の決まりごとを作ったら、あとはその場にいる仲間同士で自由にやる。言葉を使わず、音とリズムだけでじゃれあったり、戦ったり、1つになったりする。うまくハマったときの気持ちよさは、楽器を離れた今でも忘れられません。
大好きなジャズピアニスト、上原ひろみさんのセッションをば。
NBAの選手たちも、オフには度々、幼少期を過ごしたストリートコートで汗を流すと聞きます。学生さんたちは日々の練習で忙しいとは思いますが、時にはチームウエアを脱いで、自分の中に眠っているひらめきや創造性、本能を思い出しにコートに出かけてみてほしいなと感じました。
戦友(Standard神奈川vol.14)
告知が遅くてもはや告知の意味をなしていませんが、「Standard神奈川」の最新号、発売中です。(目次はこちら、購入はこちら)
この号ではバスケ特集の第1部の男子インタビュー、第2部の桐光学園、選手権特集の星槎国際湘南(女子サッカー)、ダンス特集の金沢総合の記事を担当しました。今号も楽しい取材ばかりでした。
毎年の恒例となっているバスケ特集ですが、今年はちょっと変化球企画をば。新人戦に挑む1,2年生への3年生からのメッセージをプロローグとして構成しました。男女それぞれで掲載していますが、男子はさらに変化球。法政二の美濃口くん(この記事に出てくる「泣きべその彼」が美濃口くんです。うちの息子を最もよく見ているレアな高校生でもあります)、アレセイア湘南の安達くん、東海大相模の寒川くんの、幼なじみ3人組のストーリーとしました。
インターハイ予選の最終日、法政二の鈴木先生から「3人が新横浜のストリートコートでよくプレーしている」という話を聞き、ふくらませたら楽しそうだなと思っていた企画のタネ。バスケ号は新人戦特集だし3年生モノは無理だろうな思いつつ、企画会議でおそるおそる編集長に話すと「面白いじゃん」ということになり、掲載が実現しました。
中学時代は市の2,3回戦で負けて、県選抜なぞ箸にも棒にも引っかからなかった3人。そのうち2人が県を制して全国大会に行き、3人全員が県4強の主力となれた原動力は何だったのか。悩み多き下級生たちへのエールの意味も込めて、ざっくばらんに話してもらいました。スタンダードでは珍しく4ページ構成でしたが、それでも全然収まりきらないくらい、たくさん話してもらいました。(安達くんがシンヨコに国体のウエアを着てきて全員ドン引きしたとか、いろいろこぼれ話もあったのですよ)
男の子というのは基本、あまり細かい連絡を取り合わない生き物のようです。彼らも試合会場で言葉を交わす以外、ごはんに行ったりラインなどで近況を報告し合うことはほとんどなかったそう。今回、取材という改まった場所で、それぞれが辛いこと、悔しいことを経験してきたことを初めて知って、驚いていました。お互い何も言わないし知ろうともしない。ただプレーを見て、「負けてられねえ」と奮戦してきたことで大きく成長できるんだから、見栄って大事なんだなあ、つっぱることが男のたった一つの勲章なのだなあ(嶋大輔)とつくづく思いました。
このページは写真、デザイン、記事、全部含めた「雑誌」としての良さを出せた、自分にとってもとても大切な企画となりました。変則的な取材を快諾していただいた各チームの顧問の先生方、二度も集まってくれた3人に、改めてお礼を申し上げます。
新人戦特集の今号でしたが、新人戦も本日無事閉幕しました。厚木東と元石川がまずは頂点に立ち、新たなシーズンがまた始まります!!