ブルーノオト

国内バスケットボールをメインフィールドに活動中。フリーのライター/編集者、青木美帆のブログです。

神奈川ウインターカップ予選

神奈川県のウインターカップ予選が本日閉幕しました。

男子は桐光学園高校、女子は旭高校が優勝し、12月のウインターカップの出場権を獲得しました。

 

どちらも前評判通りの強さでした。全国大会で目指すものはそれぞれ少し異なりますが、高校最後の大舞台を心から楽しんでもらいたいです。

 

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・・・というように大変当たり障りのないことしか書けないのもアレなので(個人のブログなので取材時の情報やコメントは出しません)、媒体には出ない、取材とは無関係なお話を。

 

TIP OFFで取り上げた法政二高は決勝で力尽きました。夏とは一段異なるスイッチが入った桐光学園は強かった。様々なことを試しましたが突破口にはならず、大差がつきました。

 

閉会式後の記念撮影で泣きべそをかいていた選手がいました。

 

インターハイ予選決勝リーグで桐光学園を破る大きな大きな原動力となったその選手は、決勝リーグ最終戦の開始直後に足を痛め、その後はずっとベンチ。試合後のあいさつは、チームメートにおぶわれて参加しました。

その様子を微笑ましく見ていましたが、症状は思ったより深刻だったようで、数日後に国体の選考会の見学で学校を訪れると、松葉杖をついていました。

インターハイは間に合わないと言います。「残念だね」と返すと、彼は笑って言いました。「大丈夫です、ウインターカップがあるから」。真っすぐで強い子だなと思いました。

 

結局、彼が練習に合流できるようになったのは予選開始の数週間前とのこと。今大会もインターハイ予選のころからプレータイムが減り、精細を欠いた印象でした。SNSの投稿から察するに治療はギリギリまで続けていたようですし、本調子には程遠かったのでしょう。

 

インターハイ後に行ったTIP OFFの取材時に、ある選手がこう話していました。

「もう一回、あいつも含めたみんなで(全国で)やりたい。あいつがいてチームが完成するから。あいつありで、全国のいろんなチームとやりたいなって」。

 

その願いは残念ながらかないませんでしたが、こんなふうに思い合える仲間がいるということの尊さは、何物にも代えがたい宝物。うらやましいですね。

 

全国に導いた張本人が肝心のひのき舞台に立てず、思うようなプレーができないままに高校バスケを引退する。おそらく日本中にこういう選手がいるんだろうなと想像すると、スポットライトの当たらない一人ひとりの人生に物語があるということを改めて思い知らされます。

 

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ウインターカップで活躍するレベルの選手なら、その後も大学やらなんやらでまた出会える確率が高いです。でも、県予選レベルだとそれがかなわないことも多い。二度と会わないだろう選手もたくさんいます。とてもさみしいです。

 

仕事柄たくさんの人と会いますが、その多くの人とまた出会って言葉をかわしたいし、何らかの形で縁を育んでいきたい。わがままながら、そんなふうに思っています(なんのこっちゃな締めですね)。