ブルーノオト

国内バスケットボールをメインフィールドに活動中。フリーのライター/編集者、青木美帆のブログです。

ひとり上手

大学生から20代前半にかけて、月1頻度で大切な行事があった。長距離列車に乗って知らない土地に行き、2、3泊くらいかけてふらふらと歩くことだ。

 

1人で歩く。1人で眺める。とにかく1人きりで何かを見たり、聴いたり、食べたり、触ったりして、その中で時々ひっかかるものについてゆっくりと考える小さな旅。こういう時間を過ごすと、凝り固まっていたものがほぐれるというか、問題は何も解決していないけれどそれに立ち向かう気力が充電された気がした。本当に大切な時間だった。今でも1人でいる時間は苦でないし、旅先や移動中の車内で同行者にしゃべりかけられることは、一貫してあまり好きではない。

 

たぶん、物書きの種の見つけ方も同じだ。ふとしたしぐさ、言葉、表情、ひっかかったところからすべてが始まる。ついでにいうと、特に練習見学が大切なきっかけなんだろうな、ということがわかるようになった。練習を見ることが好きだ。たぶん、誰も相手をしてくれなくても一日中平気で見続けられる。

 

傍観と観察。昔はほぼ妄想みたいなものだったけど、さまざまな人との出会いのおかげで、洞察力につながってきているような実感もある。 

 

敬愛するスポーツライティングの大先輩が、こんなことを言っていたそうだ。

"凝視した時だけいい質問が出てくる"

弛緩からの緊張。俯瞰からの凝視。集中力。描写力。現実世界を見る目はよくないけど(こないだ眼鏡を作り替えたら度が4段階上がっていて、ビン底眼鏡が手渡された)、違うものを見る目の視力はうまいこと向上させたい。そのためにも、今日も今日とて1人でぼんやり考える。

 

(大学生のころ、友人宅の熱帯魚を数時間眺めつづけていたことがあった。あれはたぶん病気だったのだろう)

 

【今回の1曲(2曲)】

youtu.be

若者はオザケンを知らないそうだ!なんということだ!!

 

youtu.be

やたらと電車からの風景とマッチすることと岸田さんが電車好きなことは密接に関連していると思われる