女子3x3ツアー「3W」と矢野良子選手の思い
9月29日、3x3女子ツアー「3W(トリプルダブル)」が横浜市にある大型商業施設「トレッサ横浜」で開幕しました。
発起人はアテネ五輪にも出場した名シューター、矢野良子選手。昨年より3x3に転向し、3人制で再びオリンピックを目指しています。
「Women」「Win」「World」の頭文字をとって名付けられた3W。クロススポーツマーケティング主催の「3x3.EXE」、JBA主催の「Japan Tour」に続く3つ目の3x3大会を矢野選手が立ち上げた理由はシンプルです。MCに主催者としてのコメントを求められ、少し冗談めかしてこう話しました。
「私は東京オリンピックに出たくて3x3に転向しました。でも、もっと試合数をこなさないとオリンピックには出られないし、結果も残せません。言ってしまえば私自身のためにリーグを立ち上げました(笑)」
地区予選(アジア予選)の上位国にオリンピックの出場権が与えられる5人制に対し、3人制はFIBAランキングの上位から出場国を決定するというシステム。それまでの国際大会での成績がすべて関わってくるのです。
2018年9月29日現在のFIBAランキングは男子が3位(すごいぜ!)に対し、女子は12位。何位までに東京五輪の出場権が与えられるのかは現状不明ですが、できるだけ高いランクのほうがいいに越したことはありません。
しかし、競技に専念できるプレーヤーが矢野選手しかおらず(矢野選手は3x3プレーヤーとしてトヨタ自動車とアスリート契約を結んでいます)、シーズンが4カ月間、ツアー日数が20日に満たない状況で強化の底上げを望むのは厳しいのが現状でした。
「これは自分が動かなきゃだめだな」。そう考えた矢野選手は新ツアーの立ち上げに奔走しました。トレーニング以外の時間を使って企画書を作り、協力企業を探し…。「昨日も会場決めのために人と会っていたんですよ」と笑って教えてくれました。
構想から約1年をかけて誕生した3Wは、10月から4月までの6カ月間、12回の1dayトーナメントとランキング上位チームで争われるファイナルの計13回が都内近郊で開催される予定です。Japan Tourも.EXEも開催されない半年間の空白の時間を使って、選手たちは3x3の実戦経験を積むことができます。
この日は朝から天気が悪かったこともあり、会場のトレッサ横浜には多くの買い物客が来場し、多くの人が足を止めてプレーを見ていました。学生時代はバスケ部だっただろうお父さんが奥さんや子どもにルールを教えたり、小さな女の子がシュートが入るたびに飛び跳ねたり、一心不乱にスマホで撮影したり…。
矢野選手は「男子のほうが華やかかもしれませんが、胸に届くものはあると思います」とちょっと悔しそうでしたが、ドライブ、シュート、そして生き生きとした表情など、バスケットボールの本質といえる部分は、初見のお客さんにも大きなインパクトとして伝わっていたと感じました。
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次ラウンドは10月14日、渋谷ストリームで開催されます。エントリーはまだ受付中とのこと。参加費は無料。ドリンクやお弁当、テーピング&トレーナーによるケアなども提供されます。
【あわせてチェック!】
→文字通り、公式サイトです。ツイッターアカウント( @3wDouble )も要チェック!
→矢野選手の個人ツイッター。コラボなどの提案窓口もこちらだそうです。
Wリーグから3x3へ転向。オリンピック出場に選手生命をかける矢野良子の生き方
→小永吉陽子さん( @y_takefield )による矢野選手のインタビュー記事。3x3転向の経緯や思いなどがバッチリわかります。後編も。