ブルーノオト

国内バスケットボールをメインフィールドに活動中。フリーのライター/編集者、青木美帆のブログです。

「TIP OFF」発行しました

JBA登録者向けのフリーマガジン「TIP OFFvol.13」が発行&発送されました。

 

 

巻頭の法政二高特集と、辻秀一先生のインタビューを担当しています。

 

「ふつうのチーム」にこそ参考にしてもらいたい法政二高のチーム作り

今号のテーマが「チーム作り」に決まったという連絡を編集部から受け、「どこかいいチームはないですかね?」と聞かれて真っ先に頭に浮かんだのが法政二高でした。

有名選手がいる全国上位のチームを紹介してもよかったのですが、読者の主対象である「ふつうの選手たち」が言い訳をせずに「自分たちも頑張ろう」と思えるようなチームの取り組みを紹介したかったのです。

5段階評価で平均4.5以上の評定が合格目安となる法政二高には、スポーツコースも学力度外視の推薦もなく、ジュニアオールスター神奈川代表になった選手も1人しかいません。それでも全中出場選手のいる厚木東に勝ち、ジュニアオールスター優勝メンバーだらけで県内負けなしの桐光学園に勝ち、寮と留学生を擁するアレセイア湘南に勝ち、あれよあれよと神奈川を制覇しました。

これまでにも取材をさせていただいた中で「このチームには絶対に何か『仕掛け』がある」と踏んで取材を敢行してみたら、やはりビンゴ。部員を「バスケットをプレーする高校生」でなく「バスケットボール部という組織の一員」と見立てることで、71人の部員が高いモチベーションを保てるということがわかりました。

こんなファンキーな部員もいます。

若干ぶっ飛んでいますが(TIP OFFの取材時にはヒゲも生やしていました!笑)、バスケットとチームに対してとても真摯で熱い高校生で、実に法政らしい子だなーと頬がゆるみます。

法政二高は来週よりウインターカップ予選に挑みます。県内のライバルたちも「二度は同じことはさせまい」と必死で準備していることでしょう。さて、3年生にとって最後の大一番の行方は――。引き続き見守っていきたいです。

 

お母さんはメンタルが強い!

スポーツドクターで「スラムダンク勝利学」の著者でもある辻秀一先生には、部活をする上でぶちあたる悩みにご回答いただきました。

シュートやハンドリング技術も日々の積み重ねが大切ですが、強いメンタルを育む方法もやはり地道な取り組みから。うまくいかないことや予想外のアクシデントに一喜一憂せず、「できることをしっかりやろう」と思えるクセをつけていきたいですね。

 

こちらの取材をしているときに思ったのは、「『母は強し』は心理学的な説得力があるのだな」ということです。

 

辻先生が言わんとしていることは本誌をご参照いただきたいのですが、お母さん方は日々予想外の、自分の都合とはお構いなしのトラブルに見舞われています。初心者母ちゃんの自分も「自分が寝ようとしたら泣き出す」「出かけなきゃいけない時間なのに起きない」「仕事が佳境だけど熱が出た」などなど思い通りに行かないことが当たり前すぎて、イライラを通り越してもはや「それがどうした」という境地になってきました。

子供が大きくなれば「ケガをした」「ものすごく汚れて帰ってきた」「迷子になった」「ケンカをした」などなど、もっと予想外なことに遭遇するのでしょう。こういったことにいちいち動じていたらお母さんたちは身がもたないですよね。これも実はメンタルトレーニングの一種なのだなということがよく分かりました。私も少しは打たれ強くなってくれると信じ、子育てに邁進します。

 

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その他にも東京成徳大学高校女子部や元女子日本代表の田中利佳さん、SUNS.EXEの石田剛規選手が登場している「TIP OFF」。多くのJBA会員様に見ていただければ幸いです。

好きです川崎愛の街

Standard神奈川」Vol.12が発売されました。

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Standard神奈川は神奈川県内のみで発売される(例外的に蒲田と町田でも購入可)スポーツ雑誌です。

産休後復帰第一号ではBリーグ特集ページを担当させてもらいました。

メーンは蒲谷正之選手(横浜ビー・コルセアーズ)×篠山竜青選手(川崎ブレイブサンダース)の神奈川出身プレーヤー対談。個人的には長いインタビュー取材の復帰戦でもあったので大変緊張しましたが、取材慣れしているお2方とあってスムーズに進み、予定していた時間を大幅に巻いて終了。和やかな雰囲気でした。

いろんなところでラゾーナ(川崎駅直結のショッピングモール)を推し、川崎アピール活動に励んでおられる篠山選手ですが、何を隠そう横浜出身。「僕は横浜の人間だし川崎には負けたくないと思っている」と、衝撃的な一言が飛び出しました。「出た、横浜人のプライド!」と、ちょっと思いました。

「おすすめスポットは?」という質問に「横浜には勝てないっすよ」と前置きしつつ、多摩川を挙げてくださった(ロードワークに出たり、河川敷で少年野球を見るのが好きなんだそう)篠山選手。プロ化に伴い、市の歴史から勉強し直すと宣言されていました。横浜のことはいい加減もう忘れて、ぜひ川崎親善大使を目指して頑張ってください!!

 

これも何を隠そう、私は4年前から川崎市民です。川崎フロンターレのにわかサポーターをしつつ「もっとバスケも盛り上がってくれ…」と半ば呪っていた身として、市民クラブができたことを大変うれしく思います。先日行われたブレイブサンダースの記者会見でも、選手たちがしきりに「川崎のみなさんに楽しんでもらいたい」「川崎のために頑張りたい」といったようなことをコメントされていました。実際にどんなアクションを起こしてくれるのか、楽しみです。

 

横浜には川崎市出身の竹田謙選手が2年のブランクを経て電撃加入しました。インターハイ男子の県代表は法政二桐光学園と、ともに川崎市の学校でした。川崎のバスケ、いま、アツイです。

フラットな視点を持ちつつ、川崎偏愛主義も備えていきたいと強く思う今日このごろです。

 

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タイトルは川崎市民の歌です。ゴミ収集車が流す曲でもあります。

何度この曲を聞いてゴミの出し忘れに気付いたことか…。

youtu.be

 

【追記】

自分も「川崎のおすすめスポット」を考えてみたのですが、篠山選手同様インパクトのあるものを思い浮かべられませんでした。川崎の自慢って何だろう…。仕事の都合などで流入してくる人が他の市町村より圧倒的に多い(自分感覚比)東京/横浜のベッドタウンの川崎は、土地への愛着が育ちにくい場所なのかもしれません。

そんな中で「ユニークなサッカーチーム・川崎フロンターレ」の存在は、よくよく考えてみたら私にとって大きな地元自慢であり、アイデンティティでもありました。全国的な名所がないからこそ、地元のプロスポーツチームが市民の大きな心のよりどころになりえるのかもしれません。ブレイブサンダースにもぜひ、そんな大きな未来を描いてほしいな~。

バスケットボールを仕事にする上で大切にしていること(自己紹介として)

はじめまして

フリーライター/編集者の青木美帆と申します。

国内バスケットボールの周辺に生きる人の声を拾い集めて、あちこちの雑誌やウェブサイトに記事を書いたり、企画を立てたりしています。過去には「中学・高校バスケットボール」という雑誌も作っていました。

 今までもtwitterfacebookで散々自分語りをしてきましたが、せっかくのいい機会なので、どんな主張を持って仕事をしているかを整理してみることにしました。

 

どんな仕事をしているかは、こちらからご覧ください。

miho-awokie.hatenablog.jp

 

バスケ未経験者にこそ伝えたい

そもそも私自身、バスケ部に所属したことがありません。

高3の夏、思いがけず観戦した能代工業のゲームをきっかけにバスケにどハマリしていくわけですが、当時の私の憑りつかれようは尋常ではありませんでした。月刊バスケットボールをバックナンバーから買い集め、大学受験のピークにウインターカップのビデオを毎日毎日繰り返し見ていました(ビデオなので「一日一回」という限度を比較的守りやすかったですが、当時youtubeがあったら間違いなく大学に落ちていたと思います)。そしてその挙げ句、こんな仕事をしています。

自分自身がそんな経験を経て現在に至るので、「バスケをしたことがない人、見たことがない人にとってもバスケは絶対に楽しいものである」という確信のもと、未経験者にこそ響くものをつくりたいという思いは常に持っています。

国内バスケを生業とする記者のみなさんは競技経験者が非常に多いので、「そういう方々に付け焼き刃の専門知識で太刀打ちできるわけがない」と早々に決めつけてしまった感もあります。でもまぁ、よかったのかなと思っています。

 

「媒体-読者-関係者」の幸せならせん構造

さまざまな課題が山積みのバスケットボール界ですが、願わくば、みんなが幸せになれるものばかりをつくっていたいタイプです。

「自分:掲載対象にポジティブな刺激を受けて記事なり媒体をつくる→読者:掲載対象を好きになる→対象者:ファンの思いが励みになり、いっそう頑張れる→自分:よりいい刺激を受ける・・・」。こんな流れがうねりとなって上昇気流になってくれればうれしいなと思っています。

 

夢は「日常に根差したバスケットボール」

「父子の休日の過ごし方」として1対1が浮かぶように、ひいきチームの勝った負けたで何時間でも飲酒できるように、大勢のファンがレプリカユニフォームを着て意気揚々と試合会場に向かうように・・・。

もっともっとバスケットボールが多くの人にとって身近な存在になる未来を心待ちにしていますし、その手助けとなる仕事をしていきたいです。

 

ブログ開設は、覚悟でもあります。

初めて記事が商業誌に載ったのは2004年、大学2年生の冬でした。バスケットボールを書いてお金をいただくようになってもう10年ちょっとが経ちます。

その間に、さまざまな事情で違う道へと進んだ同業者も見てきましたが、人のツテどころかバスケットボールとの関係すらないところから無理矢理居場所を作り、なんとか10年、この業界にしがみついてきました。あまり欲がなく、何事も適当にやってきた私が人生で初めて必死に努力して手に入れた宝物です。

Bリーグの誕生、女子代表の快進撃、渡邊雄太選手や八村塁選手など有望選手の登場――。日本バスケットボール界は未だかつてない程(自分史上)のワクワクで膨れ上がっています。また、私事ではありますが昨年末に第一子となる息子を出産し、仕事人としての自身のありかたを自問自答する日々です。

さまざまな変化の大波の中に揉まれる中でも道標を見失うことなく、誠実に仕事と向き合っていくために、このブログを立ち上げました。よかったらぜひ、ふらりとのぞいてやってください。

 

2016.8.30.青木美帆