ブルーノオト

国内バスケットボールをメインフィールドに活動中。フリーのライター/編集者、青木美帆のブログです。

熱いぜ川崎健児!!

昨日次号の制作がひと段落したタイミングでアレですが、Standard神奈川vol.13が好評発売中です。(ここから買えますよ~デジタル版もありますよ~)

 

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この号はほとんど編集担当として動いていたので、ライターとして寄稿したのは桐光学園高校バスケットボール部の1本のみでしたが、楽しい取材&執筆となりました。

 

青木の地元・川崎市に所在する桐光学園は3年ぶりのウインターカップ出場を決めました。夏の法政二に引き続き、川崎勢が県制覇!熱いぜ!!

取材に訪れた日は、学校がお休みかつ3年生は軽いメニューということもあって、教室を一室お借りして、3年生全員の話をたっぷり聞くことができました。男子校の教室に入るのは初めてのような気がしましたが、長期期間中なのにそこはかとなく匂ったことは今でも鮮明に覚えています…ああ思春期よ。そして、決勝で法政二を突き離せた原動力の一つが「アレ」だったとはなぁ…と目からウロコでした(気になる人はぜひ読んでくださいね。ここから買えます!しつこい!!)。

 

せっかくみなさんに時間を割いてもらったのに、紙面に全員のコメントを載せられないのももったいないなかったのと、わりと自由気ままに話してもらえたことで選手たちの素が見える面白い内容になったので、fbページでは特別編を展開しました(こちらは誰でも読めます)。

 

 

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今年の3年生は、中学時代にジュニアオールスターで全国制覇を経験した主力が揃います。あちこちの記事で何度もこの情報を紹介させてもらっている身ではありますが、それがあくまで3年前の栄光だということは、選手たち自身が一番よくわかっていることでしょう。インターハイでも数人が参加した国体でも、選手たちは「高校の全国」の高い壁を痛感しました。

ジュニアオールスターは例年東京体育館がメーン会場となるのですが、彼らはイレギュラーに大田区総合体育館で決勝を戦ったため、東京体育館でバスケットをするのはおそらく最初で最後。「ウインターカップってどんな大会だと思いますか?」という問いに返答する田代キャプテンの、ニヤついた表情が忘れられません(それだけ楽しみにしているってことだよね)。

 

1回勝てばインターハイで戦った福大大濠との再戦というドラマチックな組み合わせで、一体どこまで勝ち進めるのか。地元っ子たちの戦いぶりをしっかりと見届けたいです。

大学生、集まれ!バスケットボール学会(12/17.18開催)

バスケットボールってウインタースポーツなんだなあ・・・ということを猛烈に感じる繁忙期を過ごしております。(最近何をしていたかは近日ご報告いたします)

 

というわけで、本当はもう少し早く告知をしたかったのですが、「バスケットボール学会」の第三回大会のおしらせです。

 

そもそも「バスケットボール学会」というものが何ぞや? という方も多いかと思いますが、こちら、一昨年に立ちあがったバスケットボールを学問する団体です。(僭越ながら、青木も発起人の一人として名前を加えさせていただいております)

バスケの戦術

バスケの歴史

バスケのトレーニング

バスケの哲学

…などなど、さまざまな切り口からバスケットを真剣に追求している研究者のみなさんが、それぞれの知恵を持ち寄ってより良いバスケットボール界を作ろうとしている学会です。

 

今回で3回目となる学会大会は12月17日(土)、18日(日)の2日間、日本体育大学世田谷キャンパスで開催されます。

プログラムはこちらから。そうそうたる研究者の発表が行われます!!

例えば、東海大を強豪にのし上げた立役者の一人、S&Cコーチの小山孟志さん。

コーチKのバスケットボール勝利哲学」「マイケル・ジョーダン 父さん。僕の人生をどう思う?」など、バスケットボール関連書籍の翻訳家として活躍される佐良土茂樹さん。

 

特に今回は大学生(学部生)は注目!一般の参加費が4000円のところ、大学生(学部生)は参加費無料という太っ腹開催です。 

コーチングやバイオメカニクス、トレーニングといった割とわかりやすい領域以外にも学びの種が転がっていることを知ったり、著名な研究者の方々とコンタクトをとる絶好のチャンスを、ぜひみなさんも生かしてみてはいかがでしょうか。

 

 

※バスケットボール学会は学生会員も募集しています。その他詳細は公式サイトからご確認ください。ちなみにSNS各所で青木を窓口にご質問いただいても構いません!

http://japan-basket.wixsite.com/gakkai

男子大学生、食事行脚の旅

大学の夏休み期間を利用して、筑波大、東海大青学大の男子バスケ部を訪問し、アスレシピに食事に関するレポート記事を寄稿しました。

(筑波大は残り1節を残しリーグ戦優勝を確定させました。おめでとうございます!)

 

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東海大は取材前から食事に関する情報を把握していましたが、筑波大と青学大は「体作りをしっかり行っている(=食事もしっかり食べているだろう)」レベルの認識で取材を行いました。しかし、

 

東海大・・・寮生活

青学大・・・一人暮らしで外食

筑波大・・・一人暮らしで自炊

 

と、それぞれ特徴が異なり、出たとこ勝負だった割にいい連載となりました。

 

以前から親交のある管理栄養士さんに「大学生アスリートはお金も時間もないから栄養面で一番しんどい」と聞いていましたが、今回はそれを実感できるいい機会でした。特に青学大の面々の帰宅時間の遅さにはビックリ。体作りを担当している吉本完明さんの「この環境で(体作りを)よく頑張っているほうでしょう?」という言葉に大きくうなずくしかありませんでした。

 

体育館とキャンパスが離れていて、その中間地点に住んでいるという大学生の話はよく聞いています。東海大や筑波大のように練習場所から自宅が近い選手よりも、青学大のような環境でバスケットをしている大学生のほうが圧倒的に多いでしょうし、大学の栄養サポートを受けられる大学生はさらに少ない。限られた時間と費用を上手に使い、時には人に頼りつつ(川崎ブレイブサンダース・辻直人選手は大学時代、お母さんに冷凍のおかずを送ってもらっていたそうです⇒記事はこちら)、コンディションを維持してもらいたいです。がんばれ大学生!!痩せるな!!!!

 

最後にこぼれ話を。

主婦顔負けの料理テクの連続に、延々感心させられっぱなしだった筑波大の小原翼選手の恩師と、お話しする機会がありました。

198センチ97キロ、スーパーマンを彷彿とさせる体格の彼ですが、中学時代はとにかく細くて数分プレーしただけで息が切れてしまうような選手だったそうです。そこから体作りの大切さを痛感し、高校、大学と少しずつ体を作ってきたというエピソードに深く感じ入りました。人に歴史あり。継続は力なり。彼の残り少ない大学生活に幸があらんことを願います。

神奈川2チームの開幕節で会場演出について思ったこと

横浜ビー・コルセアーズと川崎ブレイブサンダースの開幕節を取材してきました。子守りの関係で両方とも2日目でしたが、神奈川のプロチームの記念すべき開幕節を見届けられてよかったです。

ツイッターでフォローしている県内の高校プレーヤーたちも多く会場で観戦したようで、「すごい楽しかった」「また行きたい」など、大変興奮した様子で綴っていました(某高校生は会場数時間前から席取りの列に並んでいたそうです。しかも2番目。気合い入ってるな~)。

 

ここでは会場を見ていて気になったことをつらつらと。

 

 

好感度大だった横浜のアリーナMC

横浜はアリーナMCのお二人が素晴らしかったです。耳触りのいい落ち着いた声で「なぜファールだったのか」「ゴールテンディングとは何なのか」「残り1分10点差でもひっくり返るのがバスケットの面白さ」などなどていねいに解説してくださいました。一見の人にとってすごく分かりやすかったと思います。

川崎のMCの方も別に嫌な感じではなかったですが、「Thunders」の発音が良すぎて、果たして一見のお客さんにちゃんと「サンダース」と伝わっているのかが気になりました(どうでもいいか)。

 

 

音響のさじ加減と観客のエリア分け

両ホームもそうですしリーグ自体の開幕戦もそうでしたが、音響のさじ加減は今後検討してもいいのではないかと感じました。どこもとても音が大きくて、隣の人との会話すらままならないのが地味にストレスでした。

今日たまたま見ていた「シューイチ」(NTV系)で、葦原一正・Bリーグ事務局長が中山秀征さんに「Bリーグは会場全体が野球のライトスタンド」と説明されていました。要は会場全体がコアゾーンということですが、現状では特定のチームを愛し応援に熱中する観客の割合はそれほど多くはないと思います。

自分がお客さんとしてBリーグを見に行くことを想像してみました。私にはひいきチームがないので(そもそも仕事以外でトップリーグの試合を見に行ったことがない)、中立で同行者とどうでもいいうんちくを語りながら試合を見ると思います。でもこの爆音の中、果たしてそんな試合の楽しみ方が可能なのだろうかと疑問に思いました。

「応援ガチ勢」「見るのが好き勢」「家族勢」などなど、観客のエリア分けも今後の課題になってくるのでしょうか。野球は前述の通りライト側が応援席になっていますし、サッカーも「本気で応援しない人は立ち入りをご遠慮ください」と書かれた一角が設けられています。収容人数が少なく音がこもりやすい体育館ではありますが、ぜひ工夫してもらいたいです。

 

 

地味に気になったトイレ問題

すごいどうでもいいことですが、バスケはトイレに行くタイミングが難しいスポーツですね。行くとしたらハーフタイムの15分間(Bリーグは規定で15分になっています)になるのでしょうが、例えば5~6000人以上の集客があった試合で、この時間だけで人数をさばけるものなのでしょうか。海外諸国のバスケット専用アリーナはトイレが他のアリーナより多かったりするのか、気になりました。

 

この週末は多くのメディア陣があちこちの開幕戦を行脚されていました。その方々が各会場にどんな印象を抱いたのか気になります。また、サンロッカーズ渋谷がホームアリーナとする青山学院大記念館は、学校施設ということもあって規制が多いと聞いています。その中でどんな演出を凝らすのかに注目しています。

Bリーガーの食卓

Bリーグ、22日の開幕以降も各地で本当に盛り上がっていますね!

この機会に初めてプロバスケに触れた自分のまわりの人々も「また見に行きたい」「ハマりそう」と好印象のようで、とてもうれしいです。

さて、ご報告が遅れましたが日刊スポーツさんが運営する食育サイト「アスレシピ」で、Bリーグ開幕に合わせた連載企画を組んでいただきました。

 

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「食事」という視点から選手を見つめると、また違った発見があるものですね。どの選手も、親御さんや下宿先のご家族、奥様からの愛情をめいっぱい受けてここまで大きくなったのだなぁと改めて実感させられました(比江島選手も「お母さんのご飯は普通の野菜炒めでもとにかく美味しい」と絶賛していました)。

 

こちらの連載は今後も続く予定です。どんな食生活に出会えるか、楽しみです!

神奈川ウインターカップ予選

神奈川県のウインターカップ予選が本日閉幕しました。

男子は桐光学園高校、女子は旭高校が優勝し、12月のウインターカップの出場権を獲得しました。

 

どちらも前評判通りの強さでした。全国大会で目指すものはそれぞれ少し異なりますが、高校最後の大舞台を心から楽しんでもらいたいです。

 

***

・・・というように大変当たり障りのないことしか書けないのもアレなので(個人のブログなので取材時の情報やコメントは出しません)、媒体には出ない、取材とは無関係なお話を。

 

TIP OFFで取り上げた法政二高は決勝で力尽きました。夏とは一段異なるスイッチが入った桐光学園は強かった。様々なことを試しましたが突破口にはならず、大差がつきました。

 

閉会式後の記念撮影で泣きべそをかいていた選手がいました。

 

インターハイ予選決勝リーグで桐光学園を破る大きな大きな原動力となったその選手は、決勝リーグ最終戦の開始直後に足を痛め、その後はずっとベンチ。試合後のあいさつは、チームメートにおぶわれて参加しました。

その様子を微笑ましく見ていましたが、症状は思ったより深刻だったようで、数日後に国体の選考会の見学で学校を訪れると、松葉杖をついていました。

インターハイは間に合わないと言います。「残念だね」と返すと、彼は笑って言いました。「大丈夫です、ウインターカップがあるから」。真っすぐで強い子だなと思いました。

 

結局、彼が練習に合流できるようになったのは予選開始の数週間前とのこと。今大会もインターハイ予選のころからプレータイムが減り、精細を欠いた印象でした。SNSの投稿から察するに治療はギリギリまで続けていたようですし、本調子には程遠かったのでしょう。

 

インターハイ後に行ったTIP OFFの取材時に、ある選手がこう話していました。

「もう一回、あいつも含めたみんなで(全国で)やりたい。あいつがいてチームが完成するから。あいつありで、全国のいろんなチームとやりたいなって」。

 

その願いは残念ながらかないませんでしたが、こんなふうに思い合える仲間がいるということの尊さは、何物にも代えがたい宝物。うらやましいですね。

 

全国に導いた張本人が肝心のひのき舞台に立てず、思うようなプレーができないままに高校バスケを引退する。おそらく日本中にこういう選手がいるんだろうなと想像すると、スポットライトの当たらない一人ひとりの人生に物語があるということを改めて思い知らされます。

 

***

ウインターカップで活躍するレベルの選手なら、その後も大学やらなんやらでまた出会える確率が高いです。でも、県予選レベルだとそれがかなわないことも多い。二度と会わないだろう選手もたくさんいます。とてもさみしいです。

 

仕事柄たくさんの人と会いますが、その多くの人とまた出会って言葉をかわしたいし、何らかの形で縁を育んでいきたい。わがままながら、そんなふうに思っています(なんのこっちゃな締めですね)。

2016年9月22日

辻堂で神奈川のウインターカップ予選を取材し、代々木第一体育館へ移動。

場所取りに備えた16時集合に合わせて、15時40分に原宿に着く。

明治神宮を横切り、歩道橋を登る。

階段を登りきったところで、すでに見える。通りすがりの人も写真を撮っている。

 

試合開始3時間前。

 

いつも第二に行くとき「邪魔だなあ」と思っていた(すいません)第一の人混み。それが自分ごととして目の前にある。頬がゆるみ、続いて震え出す。

お客さんがたくさんいる。Tシャツやキャップを身に着けている人もたくさんいる。何社ものテレビ局のカメラが詰めている。

 

なんだか、もうここが自分にとってのクライマックスだったような気もする。

 

外観撮影中の知り合いのカメラマンさんに声を掛けたら、こらえきれず泣いてしまった。

夢に見てた、たくさんの人が詰めかけるアリーナ。

恋人が、友人が、家族が、貴重な休日に大枚をはたいてバスケットボールを見に来た。

その事実だけでもう胸がいっぱいで、会場の素晴らしい演出も霞んでしまった。

 

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とはいえ、綺麗でしたね。夢かと思いました。

 

岸本選手の3ポイントとそれに続く大歓声には、比喩でなく本当に鳥肌が立ちました。アルバルクの伊藤HCと正中選手のコメントに「そうだ、ここからなんだ」と奮い立たされました。

特に正中選手のスピーチは後世に語り継がれるものだったのではないでしょうか。テレビでBリーグ開幕を振り返るたびに流してほしい。それくらい素晴らしかった。文字起こしをされた方のデータを引用させていただきます。

本日はみなさまとともにこのような素晴らしい舞台に立つことができて本当に嬉しく思っています。
誰もが羨む本当に最高の舞台でした。しかしながらもう今日を追いかけることはありません。これからは今日のこの盛り上がりを、情熱を、それぞれの想いを、これからのリーグの発展に向けて、しっかりと選手ひとりひとりが努めていかなければならないと思っています。
今日のこの素晴らしい開幕戦に勝ったチームとして、またその一員として、これからのリーグの発展に向けて選手としてとにかく愚直に競技力の向上に励み、プロスポーツ選手として自らの資質の向上を努めることによってみなさまから愛される、そしてみなさまから愛される、そしてみなさまから応援していただくにふさわしい選手、チームとなっていくことを、今日ここで選手を代表して宣言いたします。
これからもみなさんと一緒にBリーグを盛り上げていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。 

 (アカン、思い出してまた泣くレベルやでこれは。)

 

 

2016年9月22日。新時代の幕開けです。

 

この時代を私たちがどう生きていくかで50年後、100年後が変わっていく。日本バスケの夜明けを目撃した人間として、これくらいの気概をもって潔く全力で、必死でやっていきましょう!みんなで!!